YAMAHA ダイナミックギター S-20 すり合わせ&オクターブチューニングブリッジ加工
ヤマハのダイナミックギターS-20です。ダイナミックギターといえば基本的にガットギターと同じ作りでブリッジがスチール弦のテンションにも耐えれるようにボルトオンされているギターですね。ヤマハのFGシリーズが発売されるまではスチール弦モデルと言えばダイナミックギターでした。さてダイナミックギターを手にしたことのある方はご存知でしょうが意外にも鳴りが良く、爪弾いた時のレスポンスも良い感じのモノが多くマニアの方も多いと思います。しかしガットギターのブリッジにそのままスチール弦を張っているのでフレット音痴といいますか特に巻き弦のオクターブは使い物にならない個体も多いと思います。今回の依頼品もオクターブを合わせて使えるギターにカスタマイズしていきます。
赤ぶちラベルといわれるタイプですね。
まずはすり合わせを行っていきます。プロテクト板でボディを保護します。
フレットレベリングファイルで高いポイントを中心にフレットを削ってすり合わせていきます。
フレットレベリングファイルで出来たキズを消していきます。
すり合わせで出来たフレットトップの平面を円くして行きます。
紙やすりで磨いていきます。キズの深い所は#150くらいから始め#1000くらいまで段階的に磨いていきます。その後スチールウールで磨いた後、コンパウンドで磨き上げてすり合わせは終了です。
ボディプロテクト板をはずしましょう。
さてブリッジの加工です。この状態でだいたいのオクターブポイントを計測しておきました。6弦のみ異常に後ろまで下げないとオクターブが合いません。1・2・3弦に関してはこのままのポイントでピッチが合っていますので低音弦の4・5・6弦のみそれぞれポイントにサドルを置く事にしました。
新たな4弦と6弦のサドルが干渉してしまう所を削り取ってしまいます。
4・5・6弦のポイントを削り取ったブリッジ。
イントネーターでオクターブ位置を計測します。
ブリッジに穴を掘るのでボディに負担がかからないようにScissor Jackでジャッキアップします。
ブリッジ近くまでマグネットで誘導してジャッキアップ。ガットなどサウンドホールの小さなギターに便利なツールです。
サドルの形状には悩みましたが6弦のみ異常に後ろに下がるので通常の板状の材だとうまくいかないので円筒状のサドルを置く事にしました。古いギブソンのJ-200に各弦ごとにサドルがあるタイプがありますがそれを参考にしました。
ドリルでポイントをザグッていきます。
サドルの材もいろいろ悩みましがが円筒状のバーチ材を使用することに。ダイナミックギターは鳴りがいいと書きましたがどちらかというとバリバリッと弦が鳴るというか荒っぽいのでそれを押さえるためにもあまり固すぎず、ほどよく固いバーチ材をチョイス。
もっとブリッジの全体をなめらかに仕上げようと思いましたがオーナー様がガット弦も張る時があるかもしれないとのことで元々のサドル溝はそのままにする事に。弦高を各弦ごとに微調整して仕上げます。
別アングルのブリッジ。なんだか不自然な見た目ですがオクターブはバッチリ合っています。
バーチ材のサドルというのもあってか鳴りも落ち着いて良いトーンのギターに生まれ変わりました。オクターブも合って和音もキレイにハーモニーしています。