Fender USA 66年製 JAZZ BASS メンテナンス
オリジナルのトラロゴ期66年製のJAZZ BASSです。金色に黒縁のトラロゴは銀色や緑色っぽく変色するものが多いですがこの個体はまるでタイムマシーンシリーズかのように金色を保持した超ミント!現状はテンションが弱く4弦のG 3フレットあたりで強くピッキングするとバズってしまう状態。現コンディションをチェックしながらテンションをきつくしてバズるポイントを消していきます。ブリッジのオクターブネジも1弦だけ長いものに変更するなど、良い状態に持っていきます。
まずは弦高のチェック。4弦12フレット上で約3.5mm。弦高はけして低くないのでバズってしまうのはやはりテンションの問題でしょう。
同じく1弦側の弦高チェック。12フレット上で約2.7mm。
ブリッジのテンション角度を計測。4弦は20°角です。ネックの仕込み角をきつくしてブリッジのテンション角度もきつくなるように微調整します。
ネックデイトは1966/4/7 のAネック。トラスロッドはほとんど回していない様子です。
もともと仕込まれていたシム。結構厚みのあるものですがこれにいろんな厚みのシムを試してみてセット角を微調整していきます。
最終的にメイプルのつき板を追加しました。
アッセンブリーもオリジナルをとどめています。
接点復活剤を充填してクリーニング。わずかなガリは見事に除去できました。
PUはグレイボビン。PUデイトを確認したかったのですがPU下のスポンジが固まって張り付いています。66年製のフルオリジナルのミントの楽器ですので手を加えるとヴィンテージ価値が下がってしまいます。オーナー様との相談した結果このスポンジもオリジナルパーツですから手をつけずにおいておく事にしました。
ブリッジプレートの汚れがひどかったのでコンパウンドで磨きます。
同じくアッセンブリープレートもピカピカに仕上げます。
フィンガーボードのRを計測。ヴィンテージフェンダーの7.25Rを再確認して弦高調整時にも7.25Rを反映させます。
オリジナルの1弦のオクターブネジは他のオクターブネジと同じ長さです。1970年頃の一時期だけ1弦のオクターブネジが長いものが採用された事がありました。1弦のオクターブ調整時ネジの長さが足らずにサドル駒がネジから落ちてしまう事があったからですね。
下から66年製オリジナルのオクターブネジの長さは約37mm。真ん中は70年製に付いているオリジナルオクターブネジで約47mm。一番上が今回入手した50mmのモノ。インチ規格のものですのでホームセンター等では簡単に手に入らなく、楽器店でもこの長いものは取り扱ってないので入手に苦労しましたが、これでチューニングはバッチリです。
ビスの頭の形状が若干違うだけですね。
トータルで調整してメンテ完了です。4弦のブリッジのテンションは22° に調整。結果的に4弦のG 3フレットあたりのバズは除去できました。