James JP600NS メンテナンス&PUデタッチャブル加工(メスのみ)
島村楽器オリジナルブランドのJamesニューヨーカータイプギターです。過去に数本セッティングを調整させて頂いたフィンガーピッカーU氏から弦高微調整の依頼ですがフィンガーピッキングコンテスト常連のU氏は通常では考えられないほどの低い弦高セッティングですのでギリギリまで弦高を下げる微調整を繰り返します。それとデタッチャブル加工されたPUを所有されているのでエンドピンからミニジャックまでのメス部分のみの製作取付の依頼です。
オリジナリティ溢れるデザインのヘッド。
まずは現状のセッティングをチェックしていきます。弦高は6弦12フレット上で約2.4mm。
同じく1弦側では約2.1mm。
長年のノウハウから弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。
サドル底辺の加工です。バイスのトップの平面性も忘れずチェックします。
数種類のヤスリでサドルの底辺を削りフラットに仕上げます。
サドル底辺は平面性もさることながら直角になるように気をつけます。
何度も弦を張ってチェックしながらギリギリのポイントまでこの作業を繰り返します。
サドルはギリギリまで下がりました。ブリッジにブリッジピン角度も切ってない状態ですのでテンション確保のために弦誘角度溝を切り込みます。
ミニソーでサドルスロット近くまで溝を切っていきます。
ミニルーターで滑らかに仕上げます。
テンションは稼げました。
次はナットです。ストリングリフターで弦を逃がしながら弦高角度微調整を行っていきます。
フィンガーボードにもレモンオイルでたっぷりと保湿します。
次はPU関連の作業です。12mmドリルビットでエンドピンジャック穴を開けていきます。
オーナー様所有のPUはアクティブでプラグを差込めばスイッチがONになる仕組みになっています。デタッチャブル加工では3極のものを使用してプラグを差込めばスイッチがONになる仕組みを保っています。エンドピンジャックにはステレオ仕様に変更したい時にも対応可能なスイッチクラフト製の4ピンモノを使用しました。
ハンダ作業。ハンダには定番のKester44を使用しています。
テスターでチェック。
エンドピンからミニジャックまでのメス部分のみの製作が完成しました。
エンドピンジャックをボディに取り付けます。
デタッチャブル部分のジャックはサイド板にこのように取り付けています。このデタッチャブル加工のメリットはPU1台で数台のギターに乗せ替え可能だと言う事です。保有するギターにエンドピン加工だけしておけば高価なPUを気分次第で使いまわしできます。あとジャケ写やPVなどを撮る時、サウンドホールにPUがあるのは不自然でキライと言う方にもおススメです。
取付依頼のあったストラップピンをネックエンドに取り付けます。まずはドリルで穴あけ加工。
しっかりと取付しました。
最終的に微調を繰り返して弦高は6弦12F上で約1.8~1.9mm。
1弦12Fの弦高は約1.5~1.6mmまで下げれました。
全体をチェックして完了です。違うプレイヤーが弾くとビビッて演奏しずらいでしょうね。長けたフィンガーピッカーならではの調整でした。