Gibson Les Paul Custom 70年代製 ネック折れリペア&ナット製作交換
以前にも折れたらしいのですが最近また折れてしまったレスポールカスタムのネック折れリペアの依頼です。補強を入れてのネック折れリペアを施すことになりました。オーナー様は割れ跡が見えるのは気にしないのでクリアを吹くだけでOKとの事。ナットも欠け部分があるので製作交換することに。
以前の接着剤が残っているところが確認できますが、まったく接着剤の無い部分もあります。接着不良だったのでしょう。
しかしトラスロッドカバーを外すとボンドだらけです。なんとロッドまでボンドで固定されています!?
ロッドのナット部分を外しました。
こびりついたボンドを除去します。
ギブソンのトラスロッドの半円状ワッシャーもボンドで固められています。
どうにか除去できました。
クリーニング済みのロッドカバー内部。
割れの中に残る接着剤を除去します。
たっぷりとタイトボンドを割れの中に注入します。
クランプして72時間程経過を待ちます。
しっかりと割れはくっつきました。
補強有りのリペアですのでネックにルーターで彫り込みを入れます。
割れの亀裂をカバーするポイントに2箇所、彫り込みを入れました。
マホガニー材で補強材を作成します。
補強材もクランプして72時間、固着を待ちます。
ダボを成形していきます。
いろんなヤスリを使って滑らかに仕上げます。
クリアしか乗せないのでなるべくエボニーカラーは残しました。
との粉で導管を埋めます。1度ではなかなか埋まりませんから2~3度繰り返します。
との粉を導管にすり込むように拭き取ります。
軽くサンディングします。
液体マスキングでエボニーカラー部をコーティング。
下地処理には木部用プライマーを使用しました。
固まった液体マスキングを剥がします。
ここでまた軽くサンディングします。軽くクリアーのみのフィニッシュの依頼ですので、このあとはサンディングシーラーは施さずにそのままクリアラッカーを吹き付けます。
数日かけてクリアを6回ほど吹きました。
仕上げに入ります。#400からはじめて水研ぎの#1500まで段階的に磨いていきます。
最後はコンパウンドで仕上げます。艶も出て触り心地も良い感じです。
ギターの顔、ヘッド部もコンパウンドでピカピカに。
ナット作成に入ります。ナットスロットに付着している接着剤の残りをマイクロノミで除去します。
Nut Seating Filesのギブソン用でナットスロットの微調整。
ナットスロットにピッタリと収まっていますね。この仕上げが良いトーンを生みだします。
同じく1弦側。密着度が高く弦振動が良く伝わり、結果トーンの向上が期待できるのですね。
えんぴつで形状を書いていきます。
ヤスリで成形していきます。
オリジナルナットから6弦1弦の位置を書き写します。
String Spacing Ruleで正確な弦間隔をはじきだします。
弦溝を切る作業は何度も弦高の微調整をして仕上げます。最後にナットを磨きあげます。
ネックはしっかりと固着されました。
しかしレスポールカスタムのヘッドはムチャクチャかっこいいいですね。
全体をチェックして全工程終了です。ネックリペアを施したレスポールカスタムは「傷のある男」みたいでなんかかっこいいですね。やっぱりロックが似合うギターです。