Gretsch Monkees Rock`n`Roll Model 60年代製 バインディング補修&ブレーシング剥がれ&ペグ交換
グレッチのレアモデル MONKEES ROCK`N`ROLL MODELのバインデイング補修のリペアです。持ち込まれた時にはすでにトップ落ちしていたのでチェックした所ブレーシングの剥がれも見つかりました。国産のペグもガタがきていますので交換となりました。
まずはバインディングのリペアから。ヴィンテージのグレッチによくあるバインディングの崩壊ですね。巻き直しはコストがかかってしまいますのでパテ埋めでの簡易リペアでの依頼。しかしなんでこんなに劣化してしまうのでしょうか?接着剤として使われたアセトンが原因とか塗装に問題がある等いろんな説がありますがはっきりとは解っていないようです。
比較的崩壊が進んでないところでこの状態。
ネックバインディングも崩壊が進んでいます。
崩壊しそうなところはすべて崩してしまいます。奥の黒いバインディングはほとんど崩壊していませんでした。
パテを盛って固着後ルーターで荒く成形していきます。
デザインナイフも使用して第2段階のカット。
ヤスリからスポンジ研磨剤など段階を経て仕上げていきます。
パテ部分が目立ちますのでヴィンテージのボディに馴染むように焼けた飴色のように塗装していきます。
塗装後は違和感無く仕上がりました。
国産のペグは弦をはずすとペグポストが抜けてしまう状態。
グローバー風の国産ペグのサイズはグローバーより少し小さいようです。
グレッチに良く似合うアールデコ調のグローバーに交換します。
グローバーサイズのリアペグホールリーマーで裏側のみペグ穴を拡げます。
ペグ取付後シーンなど今回は色々な場面の写真がUPできませんでした。デジカメもそろそろ寿命でしょうか?サンディングの粉やおがくずが舞う工房は精密機器にはやさしくないようですね。
シルバーパーツも汚れを落としましょう。
ビグスビーブリッジも磨きます。
剥がれたブレーシングの確認。
フロントPU辺りが両サイド共にブレーシングが剥がれてトップが落ちてしまっています。
リアPU付近のバインディング剥がれは大丈夫のようです。
接着していきましょう。はみ出してくるタイトボンドを拭き取りながらクランプをかけていきます。
6弦側をクランプして24時間固着を待ちます。
1弦側もクランプして同じように24時間固着を待ちます。
しっかりとブレイシングはボディとくっきました。トップ落ちもキレイに修復できました。
このモデルにはフロント・リア共にスーパートロンがマウントされていますがセッティングがどうもおかしいのです。スーパートロンは通常のPUに下駄をつけたようなフォルムをしていて他のPUより5ミリほど高く、計測したところ全高24.2ミリも確認できます。
しかし指板のトップまではわずか20ミリ程しかありません。よって弦高が1cmもあるセッティングになってしまいます。これではまるでラップスチールみたいです。出荷された時からブレーシングが剥がれていたのでしょうか?とにかく使用できるギターにしなければなりません。オーナー様と相談してブレースをザグッてスペースを確保する事にしました。
のみでザグッていきます。
フロントのザグリの様子。
リアにも少しザグリを入れました。
グレッチのPUセッティングは原始的ですね。低い場合は何かを挟んでの調整です。このギターにもリアに脱脂綿が挟まっていました。
PU調整や弦高は通常に行うセミアコの調整まで持っていけました。各部チェックしてリペア完了です。レアモデルですので写真も多く撮ったのですがうまくUP出来ず残念ですがとてもロックなフレーズが似合いそうなイカしたレッドギターでした。