Martin D-28 76年製 ネックリシェイプ&ピックガード製作
76年製のD-28です。オーナー様はフィンガーピッキングでとにかく弾きやすいアクションを追求しています。他に所有しているヤマハのネックに近づけて欲しいとのご依頼です。ヤマハのネックを採寸させて頂いてから強度を保ちずつ、なるべくシェイプを近づけるカスタマイズになりました。ピックガード後方に弾き傷が多くありそれを隠すようにデザインしたピックガードも作成依頼されました。
マーカーで書いたポイントがカットする部分。
まずはネックの厚みからシェイプしていきます。
採寸したヤマハのネックは緩やかなVシェイプでした。何度もヤマハとマーチンのネックを握って近づけていきます。やはり手の感覚が一番の計測になりますね。
サンドペーパーで滑らかにしていきます。
ネックエンドまで塗装を剥がしました。とにかくネック全体をひたすらサンドペーパーで滑らかに仕上げます。
液体マスキングでヘッド部をコーティングしました。
シーラーによる下地処理を施しました。
との粉で導管を埋めます。1度ではなかなか埋まりませんから2~3度繰り返します。
との粉の後にもう一度シーラーを塗布してからサンディングシーラーを計3回塗布しました。
サンディングシーラーの乾燥を待って#240から#400までサンディングします。
サンディングして塗面はフラットになり導管もキレイに埋まりました。
着色の準備です。ステインを調合して色を合わせていきます。無水エタノールで溶かして電動コンプレッサーで吹き付けます。
着色の乾きを待って少しサンディングして調整します。
固まった液体マスキングを剥がします。
ヘッドのマスキングを剥がした後にクリアを吹き付けていきます。
計5回程クリアを塗布しました。10日程乾燥を待って研ぎ出しにはいります。
#400→#800→#1200→#1500→#2000と番数を上げて研いでいきます。写真では早めに#1200から水研ぎに入っています。
最終的にコンパウンドで磨き上げます。
77年製のギターですのでボディとネックのテカりを合わすため鏡面にしすぎないように磨き終わりネックリシェイプは完了しました。
オーナー様はDRIEDBONITOというユニットで活動しています。「DRIEDBONITO」は「カツオブシ」の英語ですのでピックガードをカツオブシっぽくデザインする事になりました。支給されたロゴを少しサイズを変えて元のピックガード跡を隠すようにデザインします。
まずはドライヤーでピックガードを温めます。
少し柔らかくなったところでパレットナイフで剥がしていきます。塗装が乗っているピックガードですので注意して剥がしていきます。
キレイに剥がれました。
ピックガード跡に沿って塗装が盛り上がっています。塗装の盛り上がりを削って平面に整えておきます。これでピックガードを貼る準備ができました。
何度もボディに型紙をあわしてデザインの微調整をします。
プレーンの鼈甲柄の板からピックガードを作成していきます。エッジ部分は滑らかになるように削った後、ヤスリがけ~コンパウンドで磨いていきます。
ピックガードは位置がずれないように調整してボディに貼ります。
ピックガード完成図。なんとなくカツオブシにみえます!?
ペグを取り付けました。着色も違和感無くネックはキレイに仕上がりました。
お引渡し時にオーナー様に弾いて頂きベストな弦高の微調整を繰り返しました。弦高は6弦12F上で約2.25mm。
1弦12Fの弦高は約1.4mmで調整。
全体をチェックしてリペア完了です。低いアクションとネックリシェイプも相まってかなり弾きやすいギターに生まれ変わりました。大きなピックガードに変更になりましたがさほど悪い影響は無いようでマーチンらしく鈴鳴りに鳴っています。