Greco 80年製 EG-450 PU断線リペア&すり合わせ&メンテナンス

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80年製と思われるグレコのレスポールモデルです。フロントピックアップから音が出ないとのこと。またフレット音痴で6・5弦の開放から4フレット辺りまでが30~40セントもピッチが高い状態。オクターブでは合っていますがこれではローコードがまったく使えない状態です。ワイドフレットで頂点がひらべったくなっている点やナット弦溝の仕事が甘いのでフレットすり合わせとメンテナンスで使えるギターに調整していきます。

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スーパーリアル期と呼ばれる時代だそうです。トラ目の出たトップがとてもキレイですね。フロントPUカバーも取り外されているのでカバーも着けて欲しいとのことです。

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まずはPUのチェックからスタート。フロント・リア共にオリジナルと思われるシリアルNoが確認できます。

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持った時に感じたのですがレスポールにしては異常に軽い固体です。もしやと思い見てみたら、やはりチェンバード加工されていました。キャビティが広々と取られています。いい感じにホロー感もでてこれはこれでなかなか良いトーンをアウトプットしていますよ。

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コントロールキャビティに向かう穴もこんなに広々。

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さて問題のフロントPU。POTから線材と何から何までチェックしましたがやはり問題はPUそのものにあると断定。ロウを削り取りながら断線箇所を探り当てます。

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断線修理を終えてもテスターを使用して通電などの最終チェック。

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フロントPUカバーにはなかなかハンダが乗りにくいですのでフラックスを使用してのハンダ作業。これでPUリペアは完了。

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問題のフレット音痴の改善に入ります。

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フレットの高さも少し高めです。かなり軽いタッチでないと押弦したときに押さえすぎてピッチが#してしまうフレットです。

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電子ノギスで正確にフレットの高さを測定します。

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自作したネックジグ。このツールがあると弦を張った時と同じテンションをネックに与える事が出来ます。ようするに弦を張っていなくてもネックがまっすぐになってクオリティの高いネック作業が出来るというスグレモノのツールです。

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すり合わせていきます。

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ストレート(真直度)を精密に測るスケールで隙間が無いかチェックします。 コピー用紙を挟んだり光をあてたりしてフレットトップの高さをあわせていきます。

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フレットレベリングファイルで出来たキズを消していきます。

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ヤスリから指板を守るためにマスキングテープをしてからすり合わせで出来たフレットトップの角を専用ヤスリで丸くして頂点を出していきます。

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すり合わせ時の傷が深い時には#150くらいからはじめて徐々に番目をあげていきます。

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#1000くらいまでペーパーで磨いてからスチールウールで磨きます。

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最終的にはコンパウンド(研磨剤)を使用して磨き上げます。

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ボディプロテクト板をはずしましょう。すり合わせ作業は完了です。

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3フレットを押さえて1フレット上にできる隙間ギリギリまでナットの弦高調整をします。

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ストリングリフターで弦を逃がしながら弦溝角度調整しながら弦高を下げます。

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オリジナルのナットは荒削りのままですのでキレイに磨いていきます。

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ナットが仕上がりました。

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ABR-1タイプのブリッジ。このタイプについているこのバネが共鳴するビビリの原因ことが多いのです。

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ペンチで少し曲げてバネの性質を高めます。

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ここでオクターブ調整をしておきます。

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オクターブ調整を終えたらバネと駒をマニキュアで固めます。除光液があればすぐに取れるのでビビリ解消の簡単アイデアです。

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指板にレモンオイルを与えて保湿します。

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PUのバランス調整も忘れずに。

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全体をチェックしてリペア完了です。すりあわせとナット・ロッド調整でフレット音痴も修正出来ました。みんなが青春で握ったグレコ。POTのガリノイズもすべて除去出来ましたし、まだまだ現役で使えます。