D’Angelico NYS-2 メンテナンス

ギター界のストラディバリウスとも称されるD’Angelico。本人製作のギターはたった1000本足らずで雲の上のギターですがそんな夢のギターを復刻したD’Angelico のNYS-2モデルです。うちのスタジオでレコーディングして音源製作をしたシンガーソングライター turu 君の愛器。彼の音楽は絵を描くように奏でられる音楽。独特なこのギターを絵筆を走らせるように奏でます。現状音詰まりが発生していたりしますのでメンテナンスで持ち込まれました。

ヘッドデザインはオリジナルティ溢れるデザインですね。

12・13Fでバズっています。弦高が低すぎるといいますかネックがかなり順反りしているのとブリッジがかなり低い状態にセッティングされています。全体を調整してからもバズるようならすり合わせを施す予定。

フラットワウンド弦を張っていますのでネックにはかなり強いテンションがかかっています。ワウンド弦よりもロッドを回してネックをかなり逆反りにさせて調整します。

以前ステージ直前に2弦のペグのノブが取れてしまい瞬間接着剤で留めてしまったとのこと。とりあえず診てみましょう。

見事に瞬間接着剤で固められています。さてキレイに除去できるでしょうか?

ノブの付け根のワッシャーを紛失しているのでギヤ部分が飛び出しています。そのせいで2弦だけチューニング時とても重いトルクでした。

瞬間接着剤用の除去剤を充填しながら崩し取っていきます。除去剤が金メッキを侵食するか心配でしたが問題は無かったようです。

こんな大きな塊が出てきました。あとはネジ部分を除去します。

FRP製ワッシャーとステンレスワッシャーがあったので取付ました。これでトルクにも問題無く使用できます。

2弦ペグを取付ました。FRPワッシャーの外径がほんの少し大きいようですがこれでストレス無くチューニングできるでしょう。

Volノブを紛失していましたのでヴィンテージのノブに交換。これだけでヴィンテージ感が出るものですね。

低いアクションを希望のため本人に弾いてもらいながら微調整を繰り返して弦高は6弦12F上で約2.0mm。

1弦12Fの弦高は約1.4mmで調整。

全体をチェックしてメンテ完了です。ネックのトラスロッド調整とサドル調整をしたところバズっていたポイントもなくなりましたのですり合わせも施さずに済みました。やはりメンテナンスは大事ですね。特にハコモノはデリケートですので定期的なメンテをおススメします。