Gibson J-50 02年製 ナット&オフセットサドル作成交換 ヘッド割れリペア
Gibson J-50のリペア依頼です。弦高が低すぎるため開放弦や特定のポイントでバズってしまっているので新しくナット&サドル交換となりました。チェツクしたところヘッドに割れも確認できましたのでそちらも補修となりました。
ヘッドの継ぎ部分が剥れてきています。
スキマが無いところなので少し粘度を薄めたボンドを流し込みます。
ナイフやペーパーなどで剥れている箇所に行き渡るようボンドを塗布します。
乾かないうちに濡れた布で余分なボンドを拭き取ります。
クランプを使って固定します。このまま24時間固着を待ちます。
現状の弦高は6弦12フレット上で約1.8mm。これではストロークしたらビビッてしまいますね。
同じく1弦側の弦高は12フレット上で約1.75mm。
ナット作業に入ります。当て木をかましてからハンマーで軽く叩いてナットをはずします。
ナットスロットに付着している接着剤の残りをマイクロノミで除去します。
Nut Seating Filesのギブソン用でナットスロットの微調整。
ナットスロットが仕上がりました。
ヴィンテージボーンのスラブ材からナットを作成します。フラットファイルで幅ピッタリに仕上げていきます。
ナットスロットにピッタリ収まるように成形した後おおまかなサイズにカットしていきます。
ここで軽く磨いておきます。
オリジナルナットから6弦と1弦のポイントを書き写します。
専用ゲージを使用して正確な弦間隔をはじき出します。
弦溝を切っていきます。荒く削った後、弦を張って弦高の微調整をして仕上げます。
ナットスロットにピッタリと収まっていますね。この仕上げが良いトーンを生みだします。
同じく1弦側。密着度が高く弦振動が良く伝わることでトーンの向上が期待できます。
弦溝角度の微調整などを繰り返してナットが完成しました。
スラブ材からサドルを作成していきます。
フラットファイルで溝ピッタリになるように幅の微調整をします。
スロットピッタリのサドルが出来ました。
オリジナルより弦高が低くならないよう形状を書き写しておきます。
ここでフィンガーボードのラジアルを計測しておきます。
おおまかにカットしていきます。
フィンガーボードのラジアルと同じRでサドルトップを仕上げます。
オフセットサドルの依頼ですのでイントネーターを使ってオクターブチューニングの位置を計測します。
計測したオクターブ補正位置をサドル材に書き写し、各弦ごとにサドルの頂点を削りだしてオフセットサドルを作成します。
オフセットサドルの完成です。
ストラップピンも取付依頼がありました。ドリルで下穴を開けます。
ストラップピンの位置はいろいろ好みがありますね。ネックヒールに付けておけばハイポジションの演奏時も邪魔にならないです。
最終的に弦高は6弦12F上で約2.3mm。
同じく1弦側の弦高は12フレット上で約2.0mm。元の弦高はかなり低めでビビリが発生していました。高さを確保しつつプレイヤビリティ向上の弦高に調整しました。
全体をチェックしてリペア完了です。弦高調整もさることながらミカルタ材からヴィンテージボーンに変更したことで「カラっ」とした明るいトーンに生まれ変わりました。