RYOJI MATSUOKA M50 PU取付&ネックアイロン調整
日本のガットギター界には個人製作者から有名ブランドまで数多くありますが、比較的普及帯のイメージのある松岡良治のM50です。しかしながらこのコストパフォーマンスでこのギターの質は日本でなければ出来ないのではないでしょうか。最近はクラシックやボサノバといった音楽ではなく普通の弾き語りでもガットギターを弾く方も増えてきました。ガットギターは弦高の高めな楽器が多いので弾きやすいアクションにセッティングしますがこのギターはネックが元起き気味で順反り状態です。トラスロッドは入っていないのでアイロンで矯正する事になりました。
まずはPUの取り付けから。今回のPUはLRバグスのiBEAMをご指定頂きました。
12mmドリルビットでエンドピンジャック穴を開けていきます。
12mmストレートリーマーでバリ取りします。
針金を使ってエンドブロックの深さを計測します。
ガットは胴浅なので針金などを使ってジャックを引寄せます。
PUジャックはマウント完了です。
サドルの真下にPUのセンサーを配置しなければいけません。
マグネットで位置を判別しながらセンサーを適正な位置に配置します。
マウント完了です。
解り図らい写真ですがネックが元起きの症状になっています。今回はネックリセットではなくネックヒーターでアイロン矯正します。
当工房のネックヒーターは自作した治具です。アイロンの放射熱で塗装が傷まないようにボディを養生します。
これが自作ネックヒーター。最高温度は300℃くらいまで熱を上げることが出来ます。ネックアイロン調整はクランピングが要ですのでネックの症状にあったクランピングを施します。
計3回程アイロン調整を経て改善されたネック。
弦高の微調整です。バイストップを平面に計測してから余分なサドルの底辺を削っていきます。
いろんなヤスリを使って仕上げていきます。
サドルの完成です。テンションを保ちずつ弦高を最大限下げています。
3フレットを押さえた時に1フレットとの隙間がほんのわずかあるのが理想です。
弦を逃がしながら弦高角度微調整を行っていきます。
6弦12フレット上で約2.75mmで調整。
同じく1弦側は2.25mm。
全体をチェックしてリペア完了です。ネックアイロンを施したので弦高は弾きやすいアクションに出来ました。