Gibson LG-1 66年製 ブリッジ作成・ブリッジプレート補修・オフセットサドル作成&すり合わせ

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gibsonのスモールサイズギターのLG-1です。確か型番のLGはリトルギターの頭文字からきています。プラスティックブリッジは60年代前半の仕様ですが66年頃まではたまにプラブリッジの物もありますね。まあ当時のシリアルナンバーの管理も適当なギブソン社ですからなんとも言えませんがピックガードやヘッド角から66年製と思われます。

さてプラスチックブリッジは経年劣化から崩壊しているものも多く、このギターもブリッジは変形してしまっています。音質向上のためにも木製ブリッジへの交換とあわせてブリッジプレートの補修、サドル作成、フレットすり合わせを施すことになりました。

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プラスチックブリッジは経年劣化から歪んでいます。トップとの隙間が大きく開いています。

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プラスチックブリッジはビス止めでトップと、くっついています。ビス止め部分もひび割れてしまっています。

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ボディからブリッジを取り外しました。プラスチックブリッジの裏はこのようになっていますので構造的に良い音はしないというのがセオリーですが、たまにプラブリッジでも激鳴りの個体もあるのです。恐るべしアメリカンスピリッツ。

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ボルト穴も結構、歪んでいますのでドリルで円状に整えます。

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スプルース材から円筒状の棒材を作ります。

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サイズを整えて準備OKです。

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木目を揃えて接着します。

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それではブリッジを作成していきます。材はニューハカランダとも呼ばれるマダカスカルローズを選びました。オリジナルより少しだけオーバーサイズに仕上げます。

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ヴィンテージギターのトップは結構隆起しています。その状態でもピッタリとブリッジが乗るように底辺をトップの隆起通りに仕上げます。

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ウイングをカットしました。プラブリッジはどちらかと言うと滑らかなフォルムでマーチン寄りのデザインです。それがギブソンに乗っているのはやはり美しくありません。ギブソンのヴィンテージからサイズを採寸してデザインします。

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ブリッジを仮置きしてトップにナイフでマーキングしていきます。

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ブリッジ接着部分に塗装剥離材を塗布します。

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厚い塗装でしたが剥離材で除去できました。

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接着部分の準備完了。

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1度、仮置きします。トップの隆起通りのカットでピッタリあっています。

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接着前にブリッジはオイルフィニッシュを施します。数日かけて仕上げていきます。

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LG-1はラダーブレーシングなので長方形の木材にシリコンペーパーを巻いてブリッジ裏にプレートとして入れます。ブリッジピン穴から接着剤の漏れがある場合に、クランプが接着されないように入れています。

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リキッドハイドグルーを湯煎して60℃まで温めます。

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接着面も温めておきます。たっぷりと液体膠を塗って接着します。

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クランプすると接着剤がどんどんはみ出してきますので乾く前にキレイに除去します。

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しっかりとクランプして固着まで72時間待ちます。

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プリッジプレートの傷みが激しいです。このままでは弦のボールエンド付近折り返しの巻き弦部分がサドルにのってしまいます。ビビリが発生したりトーンに悪影響がありますので修正しなければいけません。

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BridgeSaverというこのリペア専用のツール。各弦のブリッジプレートにへこみ加工を施します。

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メイプルの板材からへこみに入れるチップを作成します。

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木目をあわせて接着します。

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接着クランプ中。24時間固着を待ちます。

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すべての弦のプレート補修が済んだらドリルで穴を開けます。

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ブリッジプレートの補修完了です。これで弦の折り返し巻き弦部分はサドルに干渉しなくなりました。

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このツールでブリッジピンホールの面取りをします。

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面取りなどの作業時は木材にレモンオイルなどで保湿をして割れを防ぎます。

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リーマーでブリッジピンホールの微調整。

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イントネーターを使ってオクターブチューニングの位置を計測します。

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サドルスロットを適切な位置に掘り込みます。Saddle Routing Jigを使ってルーター作業。

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 スラブ材からサドルを作成していきます。フラットファイルで溝ピッタリになるように幅の微調整をします。

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スロットピッタリのサドルが出来ました。

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ここでフィンガーボードのラジアルを計測しておきます。

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フィンガーボードのラジアルと同じRでサドルトップを仕上げます。

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計測したオクターブ補正位置をサドル材に書き写し、各弦ごとにサドルの頂点を削りだしてオフセットサドルを作成します。

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専用ヤスリで弦溝角度の切り込みを入れていきます。

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各弦にあわせて溝を入れました。

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弦高の微調整を行ないます。弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。バイスのトップの平面性も忘れずチェックします。

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ここの底辺の仕上げも音に影響が大きいので妥協は許されません。

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オーナー様はストロークが多いとの事なので弦高は6弦12フレット上で約2.6mmで調整。

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同じく1弦側の弦高は12フレット上で約2.0mm。

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オフセットサドルの完成。

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トップの隆起に合わせてブリッジはピッタリと乗っています。

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イミテーションのパールを入れれば完璧にギブソンのアッパーベリーブリッジですが今回はこのままで完成です。

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すり合わせに入ります。これは自作したネックジグ。このツールがあると弦を張った時と同じテンションをネックに与える事が出来ます。ようするに弦を張っていなくてもネックがまっすぐになってクオリティの高いネック作業が出来るというスグレモノのツールです。

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スチール弦のギターは特によく使うプレーン弦の1・2弦の1~5フレットの消耗が激しいです。低いポイントにマーキングしておいてマーカーが消えるまでフレットトップをフラットに仕上げます。

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ヤスリから指板を守るためにマスキングテープをしてからすり合わせで出来たフレットトップの角を専用ヤスリで丸くして頂点を出していきます。

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すり合わせ時の傷が深い時には#150くらいからはじめて徐々に番目をあげていきます。

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#1000くらいまでペーパーで磨いてからスチールウールで磨きます。

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最終的にはコンパウンド(研磨剤)を使用して磨き上げます。

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ボディプロテクト板をはずしましょう。

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ピカピカに光るフレットはトーンに曇りも無くサスティンも向上します。

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1・2弦の1~5フレットの消耗が激しかったポイントもすり合わせで新品のフレットの様に仕上がりました。

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全体をチェックしてリペア完了です。プラスチックブリッジからマダカスカルローズブリッジへの変更でとてもレスポンスも良いです。ラダーブレーシングなのでサスティンは少なめですがLG-1に多い、詰まった感じもなく弾いていて心地よいギターになりました。