SAKAZO NAKADE No.B1 62年製 ブリッジ再接着・ヘッド割れ・バックジョイント剥れ&Pu取付

ルシアー中出 阪蔵氏は日本で初めてギターを製作した偉大な人です。この人からはじまったんですね。さてそんな中出 阪蔵メイプルサイドバックのNo.B1です。ブリッジに浮きが見られるので再接着の他、全体的にダメージ箇所をリペアしていくことになりました。

まずはヘッドから。一度割れたようですが接着剤がべっとりはみ出たままです。ミニのみでキレイにしていきましょう。

もうホントにべったりはみ出ています。接着剤も木工用を使用していないようです。古い接着剤を除去してからタイトボンドで再接着します。

クランプして24時間固着を待ちます。

ペグホールを埋木して再度、穴明けしたかったのですが予算的に今回はこのままで仕上げていきます。

割れを発見しました。

こちらもクランプして24時間固着を待ち仕上げました。

接着剤を除去した跡が目立つので着色していきます。

あまり目立たなくなりました。

ブリッジはもうかなり浮きが見られます。一度剥がして再接着していきましょう。

割れを防ぐためブリッジを剥がす前に数日かけてブリッジに水分を与えておきます。

熱でブリッジ細工のバインディングが溶けてしまいますので剥がしておきます。

それではブリッジを剥がしましょう。ラバーヒーターで熱を加え接着剤を溶かしていきます。

ゆっくりとパレットナイフを差し込みブリッジとトップ板を剥がしていきます。
トップ板の接着剤などを取り除いて整えておきます。

仮でブリッジを乗せてみました。このままでは貼り合わせ後に塗装の傷みが見えてしまいます。

きわの部分に着色していきます。

バインディングを接着。

スクレーパーでツライチにしていきます。

ファンブレースをさけるジグを作りました。これでしっかりクランプ出来ます。

接着面には傷をつけて接着面積を増やします。

温めたニカワをたっぷりと塗ります。

ポイントにブリッジを置いてはみ出たニカワを拭き取ります。

負荷のかかるポイントなので3日間クランプしたまま固着を待ちます。

クラシックギターはブリッジに塗装が乗っていますね。ラバーヒーターで熱を加えた時にラッカーは溶けていますので再塗装していきます。

ラッカーの厚塗り、そして乾きを待って磨いて仕上げました。

ブリッジはピッタリキレイに再接着されました。

バックセンターが経年劣化からか縮んで隙間が開いています。

写真では解りづらいですがセンタージョイント部はわずかに反りあがってきています。

中のバックジョイントと完全に剥れていますね。

矯正開始。このまま湿度や熱を与えたりを繰り返して板の反りを矯正します。

接着のクランプのためにボディ内部にジャッキツールを仕込んでおきます。

バックジョイントに矯正したバック板を接着。

反りあがったのは矯正されキレイに接着されました。

塗装の傷みが目立ちます。

同じチェリーで着色します。

エボニーのパテを作って隙間を埋めましょう。

センターの隙間を埋めます。

バインディングの隙間も埋めます。

バックは仕上がりました。とてもキレイなトラ目ですね。まるでレスポールみたいです(笑)

ピックアップも取り付けることになりました。ナチュラルな音で定評のあるLR.Baggsのi BEAMをチョイスしました。

ドリルビットでエンドピンジャック穴を開けます。

ストレートリーマーでバリ取りします。

針金を使ってエンドブロックの深さを計測します。

PUジャックはマウント完了です。

LR.Baggsのi BEAMはサドルの真下にセンサーが来ないといけませんのでサドルスロット横にマグネットでバミっておきます。

マグネットで位置を判別しながらセンサーを適正な位置に配置します。

コントローラーを配置。

指板に汚れが溜まっています。

揮発性の高いZIPPO OILでクリーニング。

レモンオイルで保湿します。

弦はハナバッハのスーパーローテンション。このスーパーローなかなか良かったですよ。

全体をチェックしてリペア完了です。やはりステージでもMICだけで音を拾うよりはPUをマウントしたほうが音粒もはっきりします。ブリッジやバック板の再接着でレスポンスも良くなりました。