Kurosawa GIGPACKER GPF-2 バック割れ&ヘッド形状変更 弦高調整

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クロサワ楽器オリジナルのGIGPACKER。こちらはエレアコ仕様のGPF-2です。本家のバックパッカーよりも生音がいいと噂されたモデルですね。あの本家のバックパッカーも確かオリジナルは他のブランドだったはず。ライセンスを買い取っただかなんだかってモデルだったはずです。まぁ確かにこの手のギターはトラベラーズにはたまんないですよね。

バックに割れがあるので補修と弦高調整となりました。

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トラベルギターなのでボディ厚が薄く、割れ修理を施すための入れたい手が入りません。こうゆう場合はバック板を一部だけ一度剥がします。スチームアイロンの蒸気を利用して接着剤を溶かしながらナイフを差込みライニングとバック板を剥離していきます。

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マホガニーで材を切り出します。

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割れの衝撃でバックブレースが剥れていました。このまま接着してもキレイなフラットのバックになりません。先程のマホ材でブレースに補強を入れてサイドに接着します。

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その後、補強材と共にブレースをサイドに接着。

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ツッパリ棒で高さを調整しておきます。

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パッチ材を先に接着しておきます。

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ツッパリ棒に紐をつけました。紐はサウンドホールから垂らして術後ツッパリ棒を引き抜くため。

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こんな感じでバック板をフラットに貼り合わしています。もちろん先程のツッパリ棒もボディ内部で活躍してくれています。

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割れ箇所はキレイにくっつきました。タイトボンドでバック材を接着していきます。

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スプールクランプでバックをしっかりと接着していきます。

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繋ぎ合わせの部分にある、わずかな段差を修正していきます。

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オイルフィニッシュなのですぐに木肌が出てきました。これで段差はキレイに修正できました。

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オイルフィニッシュを施していきます。亜麻仁油を朝と晩に塗布して拭いてを繰り返します。

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塗膜では無いのですがコーティングと言うかオイルフィニッシュぽく仕上がったあと、充分に乾かしてから軽くサンドペーパーでならします。

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バフ掛けで艶の感じを他の箇所とあわしていきます。

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良い感じに仕上がりました。

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オーナー様はどうもこのアラビアンナイト的なヘッドが気に入らないようです。なんか他の形状にしてとの事なのでミニマーチンって感じにしちゃいましょうって事でヘッドの形状変更を施します。まずは余分な箇所をマーキング。

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ベルトサンダーで削って形を整えます。

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 ざっくり形を整えたらサンドペーパーで木肌を滑らかに調整していきます。こちらも亜麻仁油を朝と晩に塗布して拭いてを繰り返しオイルフィニッシュですね。

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塗装終了ごペグを取り付けた所。この形状いいんじゃないでしょうかね。

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 正面からみるとまさしくミニマーチンって感じです。

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オーナー様はフィンガーピッカーで通常では考えられないほどの低い弦高セッティングをご要望ですのでギリギリまで弦高を下げる微調整を繰り返します。

まずは現状のセッティングをチェックしていきます。弦高は6弦12フレット上で約3.25mm。

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同じく1弦側では約2.9mm。

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トラスロッド調整。

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長年のノウハウから弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。

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サドル底辺の加工です。数種類のヤスリでサドルの底辺を削りフラットに仕上げます。

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サドル底辺は平面性もさることながら直角になるように気をつけます。

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ここでフィンガーボードのラジアルを計測しておきます。

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フィンガーボードのラジアルと同じRでサドルトップを仕上げます。

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角を落としてアーチ状に仕上げます。

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サドルトップは滑らかになるように磨いておきます。

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弦高をかなり下げるため、このままではテンションがなくなりビビりが発生してしまうのでブリッジピンホールに弦の角度溝を切っていきます。

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希望の弦高に達するにはブリッジも少し薄くする必要がありましたのでサンドペーパーで削っていきます。

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専用ヤスリでサドル側に引き寄せる溝を仕上げます。

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ブリッジ&サドルの完成。ブリッジピンホール修正でテンションもしっかり稼ぐ事が出来ていますね。

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3フレットを押さえて1フレット上にできる隙間ギリギリまでナットの弦高調整をします。

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ストリングリフターで弦を逃がしながら弦溝角度調整しながら弦高を下げます。

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最終的に弦高は6弦12F上で約1.8mm。

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1弦12Fの弦高は約1.5mmで調整。

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全体をチェックしてリペア完了です。トラベルギターがあるだけでどこかの国に行ってみたくなりますね。