Martin D-15 98年製 サイド割れ接着・ナット&サドル作成交換他
マーチン近年モデルのオールマホガニーボディD-15です。サイドが大きく割れてしまったようですので割れ補修とナット&サドル材を変更して音質の向上改善を狙います。
割れ箇所のチェックから。大きく20cm以上にわたって亀裂が入っています。
欠け箇所からはライニングが割れているのも確認できます。
割れに軽く薄めたタイトボンドをすり込むように流し込みます。
スプールクランプでサイド板をしっかりと接着していきます。このまま24時間固着を待ちます。
オイルフィニッシュの個体ですので塗装で段差を埋める処理は不自然ですのでタッチアップは施さないことにしました。割れが目立たない様に着色します。
着色だけですが長い割れ跡もパッと見ただけではわからないくらいに修正できました。
ナット作業に入ります。当て木をかましてからハンマーで軽く叩いてナットをはずします。
ナットスロットに付着している接着剤の残りをマイクロノミで除去します。トラスロッドの溝が少し覗いています。そこに溜まった接着剤も除去します。
Nut Seating Filesのマーチン用でナットスロットの微調整。
ナットスロットのクリーニングが完了しました。
トラスロッドの溝もパテ補修で埋めてしまいます。
ナットスロットが仕上がりました。
スロットピッタリに厚み調整完了です。おおまかなサイズにカットしていきます。
ここで軽く磨いておきます。
オリジナルナットから6弦と1弦のポイントを書き写します。
専用ゲージを使用して正確な弦間隔をはじき出します。
弦溝を切っていきます。荒く削った後、弦を張って弦高の微調整をして仕上げます。
弦溝角度の微調整などを繰り返してナットが完成しました。
スラブ材からサドルを作成していきます。
フラットファイルで溝ピッタリになるように幅の微調整をします。
スロットピッタリのサドルが出来ました。
ここでフィンガーボードのラジアルを計測しておきます。
オリジナルから形状を書き写しておきます。
おおまかにカットしていきます。
フィンガーボードのラジアルと同じRでサドルトップを仕上げます。
サドルトップの角を落とします。
サドルトップの仕上げに入ります。#1500から始めて最終的に#12000まで番数をあげて磨いていきます。
弦高の微調整を行ないます。弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。バイスのトップの平面性も忘れずチェックします。
ブリッジピンホールとピンのサイズが合っていませんのでリーマーで微調整します。
サドルの完成。
弦高は6弦12フレット上で約2.5mmで調整。
同じく1弦側の弦高は12フレット上で約2.0mm。
ピックアップのバッテリーはナイロンパックでネックブロックに取り付けられていたのですがそれではシリアルナンバーが隠れてしまいますのでナイロンパックはやめてバッテリーホルダーを台座に取り付けてからネックブロックに接着する事になりました。
クランプ作業中。24時間、固着を待ちます。
バッテリーはこのように付いています。これでボディの中で電池が遊ぶ事もなく安心ですね。
全体をチェックしてリペア完了です。ナット&サドルを牛骨材に変更して音質改善の狙い通りブリリアントな明るいトーンになりました。