Martin D-28 70年製 マーチンクラック&ピックガード再生・エンドトリム接着・タッチアップ他
ピックガードが伸縮してしまう70年代製のマーチンに多いマーチンクラックと呼ばれるリペア依頼です。オーナー様はピックガードの伸縮はまだ軽度なので出来れば調整して使用したいとのご希望です。そのほかブレースの欠けやエンドトリムの剥れ、トップ傷のタッチアップ、ブリッジ浮き等のリペアとなりました。
ピックガードが0.5mm程縮んでいるのが確認できますね。
ブリッジに浮きが確認出来ます。
トップの傷箇所。
別箇所の擦り傷。
エンドトリムが剥れています。
まずはドライヤーでピックガードを温めます。
少し柔らかくなったところでパレットナイフで剥がしていきますが力が強すぎるとトップ板を傷めてしまいますので注意が必要です。
キレイに剥がれました。分かりづらいですがマーチンクラック(板割れ)も確認出来ました。
ここでブリッジ浮き補修に入ります。
マスキングテープで養生して液体膠をすり込みます。
こちら側もすり込み。
クランプすると接着剤がどんどんはみ出してきますので乾く前にキレイに除去します。
しっかりとクランプして固着まで24時間待ちます。
ブリッジ浮き補修の完了。
エンドトリムが剥がれています。バインディング専用の接着剤を使用して補修します。
このように固定して固着を待ちます。
バック側も固定して24時間固着を待ちます。
エンドトリム箇所リペア完了です。
マーチンクラックの修正。割れの強度と再発の予防にはパッチを使用します。スプルースからパッチを作り貼り付ける位置を確認しています。
ボディトップ板の裏側にパッチを貼り付けていきます。
クランプを使ってパッチを留めていきます。
ボディ内部の修正図。
スプルースペーストを作りわずかな割れの隙間を補修します。
ピックガード跡に沿って塗装が盛り上がっています。塗装の盛り上がりを削って平面に整えておきます。
オリジナルピックガードを仮置きしてみます。
経年劣化の収縮から全体的に0.5mm小さい感じです。
焼けた飴色を再現するために作ったラッカーを塗っていきます。
そのまま傷にもタッチアップ。数日かけてラッカーを厚く塗っていきます。
数日掛けてラッカーを充分に乾かした後に仕上げに入ります。余分なラッカーを削り取ります。
サンドペーパーの番数を上げて滑らかにしていきます。最後はコンパウンドでピカピカに仕上げます。
タッチアップ完了です。
傷箇所のタッチアップも完了。
オリジナルピックガードの歪みを修正していきます。
逆に反っている箇所を矯正。輪ゴムで引っ張っています。実際には2-3週間この状態でした。
どうにか矯正できました。両面テープをピックガード裏に貼り付けていきましょう。
ピッタリサイズにカットします。
裏紙をペロッとめくり貼り付けます。
貼り付け完了です。
タッチアップしたので収縮していてもあまり違和感が無く仕上がりました。
ブレースの欠けが解りますでしょうか?裂けているような状態です。
スプルースペーストを作りました。
ペーストを欠け箇所にパテ盛りして完了です。
サドルは底辺の加工が甘い状態ですので修正していきます。
フラットになるように調整加工。
ほとんど弦高は下げていませんが現状はテンションがほとんど無い状態。ブリッジピンホールの弦溝をサドル近くまで伸ばしてテンションを稼ぎます。
専用のミニソーでスロット近くまで弦溝を引寄せます。
ミニソーの後に専用やすりで滑らかに仕上げます。
弦誘角度溝を切り込みテンションは稼げました。
全体をチェックしてリペア完了です。オリジナルピックガードを修正したので違和感も無く仕上がりました。サドル底辺の加工を少ししただけでボディ全体から鳴るようになりました。