Taylor GC8 サドルスロット微調整・オフセットサドル作成・バックジョイント接着
テイラーグランドコンサートシリーズのGC-8です。現状PUの弦バランスが崩れ6弦1弦が大きく3.4弦が小さい状態。そのPUバランスの修正とあわせて音質向上を図る為にヴィンテージボーン材(牛骨)でオフセットサドルの作成交換、バックジョイントの接着のリペア依頼です。
スロテッドヘッドが印象的ですね。随所に丁寧な作りが見て取れます。
さて現状の弦高チェック。6弦12フレット上で約1.9~2.0mm。
同じく1弦側の弦高は12フレット上で約1.5mm。交換作成後も同じくらいでの調整をご希望です。
オリジナルサドルの右にある板状のスチール。オーナー様がこの破片を利用して3.4弦に圧をかけてPUバランスをとっていたようです。
しかしサドルの底辺の形状に大きな変形などは見当たりません。
サドルスロットのチェックに入ります。
カーボンと白い紙をスロットに入れます。
その上からストレートゲージで圧をかけます。
やはりスロットの真ん中辺りが少しだけ凹んでいるようです。
Saddle Routing Jigを使ってルーター作業に入ります。再度スロットを掘り下げて底辺をストレートにしていきます。
ヴィンテージボーンのスラブ材からサドルを作成していきます。
フラットファイルで溝ピッタリになるように幅の微調整をします。
スロットピッタリのサドルが出来ました。
フィンガーボードのラジアルを計測して同じRでサドルトップを仕上げます。
おおまかにカットしました。
サドルトップを15Rに微調整します。
ブリッジにイントネーターを取り付けてオクターブチューニングの位置を計測します。
計測したオクターブ補正位置をサドル材に書き写し、各弦ごとにサドルの頂点を削りだしてオフセットサドルを作成します。
ここでサドルを磨いておきます。
弦高の微調整です。バイストップを平面に計測してから余分なサドルの底辺を削っていきます。
数種類のヤスリでサドルの底辺を削りフラットに仕上げます。
オフセットサドルの完成。
弦高はオーナー様ご希望の6弦12フレット上で約1.9~2.0mm。
同じく1弦は12フレット上で約1.5mmくらいで調整。
剥れてしまったバックジョイント。バック材のマッチングの補強の為にあるものです。
割れを接着しました。
クランプして固着を待ちます。
強力マグネットでクランプして剥れ修理完了。
各部チェックしてリペア完了しました。サドル材の変更で生鳴りもブリリアントになり反応も良くなりました。実際にはPUのバランス調整にはかなりの時間を掛けました。アンダーサドルのピエゾ素子には様々なタイプがあり中には微調整を施さないとパフォーマンスが発揮できない場合があります。取り付けてポンッと言うわけには行かないモノもあるのでお困りの方は是非ご相談下さい。