Takamine PTN-006 80年代製 ナット&変形オフセットサドル作成・ブリッジピン調整

DSCF7043

タカミネのPTN-006です。この個体は珍しい塗りつぶしのブラックフィニッシュ。少し現状より低めのアクションでの弦高調整とオクターブを確実にあわせるように少し変わったサドルを作成する事になりました。

DSCF7044

トップサイドバック総ハワイアンコア単板とのスペックです。サウンドホールからフレイムの入ったコア材が確認できます。バックジョイントの横の木目が少しセンターからズレていますね。それを隠す為のブラックフィニッシュだとしたらかなりのレアモノです。

DSCF7047

さて現状の弦高チェック。6弦12フレット上で約3.1~3.2mm。少し高めですね。

DSCF7048

同じく1弦側の弦高は12フレット上で約2.1~2.2mm。

DSCF7050

ナット工程からスタートです。木を当ててからハンマーで軽く叩いてナットをはずします。

DSCF7051

ナットスロットに付着している接着剤の残りをマイクロノミで除去します。

DSCF7052

Nut Seating Filesでナットスロットの微調整。

DSCF7053

ナットスロットのクリーニングが完了しました。

DSCF7054

ヴィンテージボーン(牛骨)のスラブ材からナットを作成していきます。

DSCF7055

スロットピッタリに厚み調整していきます。

DSCF7056

スロットにピッタリと収まったナット。この仕上げが良いトーンを生みだします。

DSCF7058

同じく1弦側。密着度が高く弦振動が良く伝わり、結果トーンの向上が期待できるのですね。

DSCF7059

ナットスロットにピッタリ収まるように成形した後おおまかなサイズにカットしていきます。

DSCF7060

形を仕上げていきましょう。

DSCF7061

形が仕上がったらここで軽く磨いておきます。

DSCF7063

オリジナルナットから6弦1弦の位置を書き写します。

DSCF7064

String Spacing Ruleで正確な弦間隔をはじきだします。

DSCF7065

弦溝を切っていきます。荒く削った後、弦を張って弦高の微調整をして仕上げます。

DSCF7066

ナット工程は完了です。

DSCF7067

イントネーターを使ってオクターブチューニングの位置を計測します。

DSCF8126

低音弦のオクターブポイントが大幅にスロットを越えてしまっています。一体型PU搭載モデルですのでスロットの位置変更も大工事になってしまいます。変形サドルでオクターブポイントに対応して作成していきましょう。

DSCF7068

ここでフィンガーボードのラジアルを計測しておきます。

DSCF7069

オリジナルサドルは牛骨で作成精度も良かったのでオリジナルにオフセット加工を施します。フィンガーボードと同じRでサドルトップを仕上げます。

DSCF7070

計測したオクターブ補正位置をサドル材に書き写し、各弦ごとにサドルの頂点を削りだしてオフセットサドルを作成します。

DSCF7072

オクターブの調整が出来ましたら磨いていきます。

DSCF7075

弦高はサドル底辺の加工で微調整します。長年のノウハウから弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。

DSCF8132

 5.6弦部分をカットします。

DSCF8128

幅の広いナット材で変形部を作成していきます。

DSCF8129

スロット部分を成形。

DSCF8130

 スロットピッタリに仕上げました。このあと羽根部分の底辺がブリッジに乗りつつスロット底辺もPU素子に圧が掛かるように微調整していきます。

DSCF8133

羽根部分の成形。

DSCF8134

 磨いて仕上げます。

DSCF7772

 牛骨材のブリッジピンを御使用されています。プラスチック製は良い感じに歪んできますがボーン材は微調整しないと割れてしまいます。低音弦のみ専用工具で弦溝を拡げていきます。

DSCF7773

 見分けがつくように低音弦用の2本のみ印を付けておきます。

DSCF7774

マーカー部を少し削ってマーキング。

DSCF8136

変形オフセットサドルの完成。

DSCF8141

オクターブはピッタリあって尚且つPUバランスも問題なく製作できました。

DSCF7076

最終的に弦高は6弦12F上で約2.4~2.5mm。

DSCF7077

同じく1弦側の弦高は12フレット上で約2.0mm。

DSCF8137

 全体をチェックしてリペア完了です。変形オフセットサドルでの調整でハイポジションの難解コードもキレイなハーモニーを奏でてくれます。