Yamaha CPX-15WA リフレット・ナット作成交換

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ヤマハのコンパスシリーズCPX-15WAです。使用頻度が高いとの事でわずか数年でフレットが磨耗してしまっています。フレット交換をするとナットの弦高も足らなくなる場合があり、この個体も同時にナット作成交換となりました。

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磨耗したフレットの様子。

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フィンガーボードの割れや欠けを防ぐためにフレットを外す前にたっぷりとレモンオイルを与えます。

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フレットを温めるのも割れや欠けを防ぐために重要です。このようにハンダごてで温めながらフレットを抜いていきます。

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フィンガーボードのラジアスを調べます。

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計測したラジアスで指板修正していきます。

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溝のクリーニング。古い接着剤などを除去します。

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フレット溝に残る木屑もきれいに取り除きます。

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オリジナルフレットを計測して近いフレットワイヤーを選びます。

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フレットワイヤーにR加工していきます。

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フレットタングニッパーでバインディングに乗ってしまうエンド部をカットします。

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フレット浮きを防ぐ為カット部もヤスリでキレイに仕上げます。

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フレット打ちには、まったくギターに衝撃を与えない3種類の専用工具を使用します。ハンマーを使わないプレス式ですのでアコースティックギターには最適なツール。ネックブロックにあたるところまでエンド部からはこのプレスツールで作業します。

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ネックヒールがある辺りはこの工具でプレスしていきます。

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3種類目のプレス工具。ハンマーを使わずRにあわせてプレスするのでフレット浮きも出にくいです。

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くいきりでフレットのはみ出た部分をカットします。

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Fret Beveling Fileで35°の角度にフレットエンドを削っていきます。

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次はフレットのすり合わせを行います。ストレート(真直度)を精密に測るスケールで隙間が無いかチェックします。 コピー用紙を挟んだり光をあてたりしてフレットトップの高さをあわせていきます。

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すり合わせで出来たフレットトップの角を専用ヤスリで丸くして頂点を出していきます。

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バリ(めくれ)処理をします。

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すり合わせ時の傷が深い時には#150くらいからはじめて徐々に番目をあげていきます

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#1000くらいまでペーパーで磨いてからスチールウールで磨きます。

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最終的にコンパウンドを使用して磨き上げます。

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ボディプロテクト板をはずしましょう。

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ピカピカになったフレットは音もキラキラしそうです。実際サウンドは粒立ちが良くなりサスティーンが向上します。

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ナットスロットをクリーニングしていきます。

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Nut Seating Filesでナットスロットの微調整。

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ヴィンテージボーン(牛骨)のスラブ材からナットを作成していきます。

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フラットファイルで幅ピッタリに仕上げていきます。

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ナットスロットにピッタリ収まるように成形した後おおまかなサイズにカットしていきます。

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オリジナルナットから6弦と1弦のポイントを書き写します。

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専用ゲージを使用して正確な弦間隔をはじき出します。

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弦溝を切っていきます。荒く削った後、弦を張って弦高の微調整をして仕上げます。

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ここで磨き上げます。

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スロットにピッタリと収まったナット。この仕上げが良いトーンを生みだします。

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同じく1弦側。密着度が高く弦振動が良く伝わり、結果トーンの向上が期待できるのですね。

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ナット工程は完了です。

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全体をチェックしてリペア完了です。リフレットしてサスティンも向上しましたしナット材変更で開放弦での音質も向上しました。