Larrivee L-19 弦高下げ・ブレーシング再接着・PUケーブルカット等
ヘッドインレイが美しいカナダの手工ギター ラリビーの弦高下げのご依頼です。オーナー様はフィンガーピッキングの達人。より演奏性を高めるために弦高をギリギリまで下げて欲しいとの事。変則チューニングでタッピングも多用とのことなので変則チューニングのゆるいテンションでの調整に入ります。
各部チェックしたところブレーシングの剥がれやボディ内にPUケーブルが2~3M束ねてあるなどがあったのでいろいろな箇所を修正するリペア作業となりました。
まずはブレーシングの剥がれからチェックしていきます。
ボディバックのブレーシングが合計3箇所剥がれて浮いてしまっています。
ブレーシングの浮きは音に影響をきたすため再接着しなければいけません。そのままにしておくと弾いた時の余韻や倍音にビビリや不快感が残ります。
ただ日本は四季があり湿度も1年をとうして変化するためギターには優しくない環境と言えます。不具合を感じたら早めにリペアされることをおすすめします。
マスキングテープをパレットにしてタイトボンドを置いて隙間にすり込んでいきます。
接着剤を流したらジャッキアップします。持ち上げすぎないようにボディ外からもやさしく押さえます。
2本目のジャッキアップ。サウンドホール近くの作業は比較的容易にできますが問題は3本目のボディ奥のブレーシングです。難度が高く今回もジャッキを立てるリハーサルを何度も何度もしましたがトップ板のブレーシングの形状などから手でジャッキアップするのは断念しました。
さてそんな手の届かない所での作業に役立つツールをアメリカから取り寄せました。Scissor Jackというツールです。なんというか1時間かかってもうまくいかない作業が1分程で完了します。後は24時間ほど接着剤の固着を待つだけ。
次は弦高チェック。現状の弦高は6弦12F上で約2.6mm。
1弦12Fの弦高は約2.0mm。
見えずらいですが1度サドル溝を埋めて再度サドル溝を掘った形跡があります。フレット音痴を修正したのでしょう。各弦ともオクターブはキレイにチューニングがあっていますが6弦のみ20セントほどピッチが高い状態です。
イントネーターを使って6弦のオクターブチューニングポイントをはじき出します。
算出したオクターブチューニングポイントにそってサドルの頂点を削ります。
サドル底辺の加工です。長年のノウハウから弦高下げの分を算出してサドルの底辺を削り取っていきます。バイスのトップの平面性も忘れずチェックします。
オーナーに確認していませんが見た感じでは象牙のサドルです。なんか削るのも惜しい気がしますね。(笑)
フィンガーボードのエンド部辺りのRをはじき出します。このギターは20Rと判明。
同じく20Rのゲージでサドルトップも20Rになるように微調整。
次はPUの余分なケーブルをカットします。ステレオ出力でピエゾもインストールされています。写真のクルクル回ったケーブルがピエゾのケーブルです。ピエゾケーブルを傷めないようにエンドピンジャックを引き出します。
ピエゾケーブルが短いのでサウンドホールまでしかジャックが出てきませんので慎重に作業を進めます。
古いハンダをハンダ吸い取り線で除去します。プレーンな端子が出ているのが解りますでしょうか?
クルクル回ったピエゾのケーブルも修正し余分なマグネットPUのケーブルも適正な長さになりました。これでギターも少し軽くなりました。
ある特定のフレットで音詰まりがあるとの事でしたのでフレットのクリーニングをします。フレットの残りの状態からすり合わせはまだ先でいいと判断しました。
ピカピカになったフレットは音もキラキラしそうです。
最後にナット調整です。ストリングリフターで弦を逃がしながら弦溝角度調整をしながらギリギリまで弦高を下げます。
最終的に弦高は6弦12F上で約1.9~2.0mm。
1弦12Fの弦高は約1.6~1.7mmまで下げれました。
今回の調整はオーナーの演奏している映像をYouTubeで拝見出来たのが大きかったですね。弾く時の力具合を考慮出来たからギリギリまで弦高を下げれる事が出来ました。違うプレイヤーが弾くとビビッて演奏しずらいのではというくらいの調整でした。