SAKAZO NAKADE No-G PU取付 サドル溝加工&フレットすり合わせ
1968年製の中出阪蔵のガットギターです。日本の古いガットギターはサドルの厚みが1.5mm~1.8mmと薄いものが多くサドル溝の底にピエゾ素子(厚さ2.3mm~)を装着するインブリッジタイプのピエゾピックアップは基本的に使用不可能です。ブリッジのサドル溝を新しく2.38mmにルーター加工することによってピエゾ素子を仕込めるようにします。
ミスは許されない緊張の瞬間です。たっぷりと時間をかけてセッティングしたあとルーターでザグリます。
新しいキレイなサドル溝が出来ました。
ピックアップはFISHMANのMatrix Infinity。2.38mmの溝にすっぽりとピエゾ素子が収まりました。
ブランク材からサドルを作成します。今回チョイスしたのはTUSQです。
フラットファイルで厚みをサドル溝ピッタリに揃えます。
弦高は低めのセッティング。ギリギリまでサドルの高さを調整していきます。
弦を張って調整を確認します。テンションがかかるギリギリまで弦高を下げました。同時にアンプに繋げて出力のチェックをします。
最近のピックアップのバッテリーホルダーはナイロンバック式が主流みたいです。ノイズの面等で採用されているのでしょうか?個人的にあまり好きではないので換わりにブラス製のものを台座に取り付けタイトボンドで接着します。
次はフレットのすり合わせを行います。ストレートゲージで低くなっているポイントをマーキングします。
フレットトップが均等になるようサンディングしていきます。
フレットレベリングファイルで出来たキズを消していきます。ガットギターはフィンガーボードにRが付いていませんのでフレットトップの修正は比較的容易ですね。
一旦スチール粉を吸い取りましょう。
Fret Beveling Fileでフレットエンドの角度を均等に修正します。
ドレッシングファイルでバリ(めくれ)処理をします。
ドレッシングファイルとペンシルサンダーを使用してフレットエンドを仕上げていきます。
すり合わせで出来たフレットトップの平面を円くして行きます。
紙やすりで磨いていきます。キズの深い所は#150くらいから始め#1000くらいまで段階的に磨いていきます。
スチールウールで磨いた後、コンパウンドで磨き上げてすり合わせは終了です。
ボディプロテクト板をはずしましょう。
弦を張って各部チェックしてリペア完了です。40年以上経過している貫禄の顔立ちのギターがステージでも活躍するようにカスタマイズできました。