VG VG-01M ブリッジ剥がれ&トップ板修正
東京は新高円寺のアコースティックLIVE Bar STAX FREDのオーナーN氏のギターブリッジ剥がれのリペアです。数年前にも剥がれたとのことなのでギター内部にも問題があると思いますのでチェックしていきます。
まずはトップ板のセンタークラックの修理跡。ボンドを流し込んだ形跡が見られます。
はみ出ているボンドの固まりをキレイに取り除きます。
内部をチェックした所ブリッジ後方のブレーシングに剥がれが確認できました。湿度などが原因でブレーシングが剥がれ、弦の張力でトップ板が持ち上がり、その結果トップ板とブリッジに歪みが発生してブリッジが剥がれてしまったと考えられます。
剥がれかけているブリッジにそっとナイフを差し込みます。
簡単に剥がれてしまいました。
ここでトップ板の修正に入ります。Top Deflection Gaugeで様子を見ながらトップ板を押さえ込んでいきます。
このまま湿度や熱を与えながら2週間ほど固定して板が落ち着くか様子を見ます。
トップ板は落ち着いたようです。剥がれているブレーシングを接着していきましょう。マスキングテープをパレット代わりにするため接着部に貼っておきます。
タイトボンドをシリンジに入れてポイントに置いていきます。
パレットナイフでボンドを隙間にすり込んでいきます。
ジャッキで持ち上げて24時間、固着を待ちます。
トップ板の隆起を防ぐため小さなブレーシングを追加で1本入れることにしました。
スプルース材からブレースを作成していきましょう。
形を整えていきます。
サウンドに影響がないようにスキャロップブレーシングにしました。エッジも丸みをつけてあります。
新しいブレースもジャッキアップで接着します。
センタークラックにパッチが貼られていなかったのでパッチを追加します。
新しいブレースとパッチの固着も24時間待ちます。ブレーシング部分には外からもやさしくクランプで押さえつけます。
接着後のギター内部の様子です。これでトップの隆起は抑えられるでしょう。
ブリッジ接着の準備に入ります。トップに残った接着剤をキレイに取り除きます。ブリッジ裏も同じくキレイにクリーニングしておきます。
仮でブリッジを乗せてみました。このままでは貼り合わせ後に塗装の傷みが見えてしまいます。
ブリッジが剥がれてくるとこのように塗装を押しながら少しずつ前にずれてきます。
きわの部分にステインマーカーで着色していきます。
着色後ラッカーを厚塗りしていきます。
数日は乾燥させた後塗装の段差を平面にしていきます。カミソリでラッカーの盛り上がった箇所を削いでいきます。
軽く磨いだあとコンパウンドで仕上げます。
塗装の修正が終わりました。
ではブリッジを接着していきます。
温めたニカワをたっぷりと塗ります。
ポイントにブリッジを置いてはみ出たニカワを拭き取ります。
負荷のかかるポイントなので3日間クランプしたまま固着を待ちます。
固着後ブリッジピンホールの修正です。固まったニカワをリーマーで取り除きます。
ブリッジピンホール角度の溝も少しきつく切っていきます。
ルーターでブリッジピンホール角度の溝を滑らかに仕上げます。
弦を貼って各部チェックしてリペア完了です。ブリッジ部分がしっかりとくっついたのでレスポンスも良くボディ全体で鳴ってます。